この記事の結論

「家中使いたい」なら全負荷型一択。コスト重視で最低限の備えなら特定負荷型でよい。

全負荷型は停電時に全ての電気回路が使えますが、設置工事が複雑で費用が高くなります。特定負荷型は指定した回路(冷蔵庫・照明・コンセント数口など)しか使えませんが安く導入できます。「停電時にエアコン・IHを使いたいか」で判断が分かれます。

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全負荷型と特定負荷型の根本的な違い

この2つの違いは「停電時にどこまで電気を使えるか」です。通常時(電力系統が繋がっている時)はどちらも同じように動作しますが、停電が起きた時に大きな違いが出ます。

全負荷型 vs 特定負荷型:基本比較

項目 全負荷型特定負荷型
停電時に使える範囲 家中の全回路(分電盤の全てのブレーカー)/指定した回路のみ(専用コンセント・特定ブレーカー)
停電時のエアコン 使える基本的に使えない(専用回路に含めれば使える機種あり)
停電時のIH・エコキュート 使える(容量内)/使えない(大電力機器は対象外が多い)
工事の複雑さ 複雑(分電盤の改修が必要)/シンプル(専用回路の配線のみ)
導入費用(工事費含む) 特定負荷型より20〜50万円程度高いことが多い
東京都補助金対象 SII登録機器なら両方対象。補助金額は容量ベースで同じ。

「停電時に家中使える」という営業トークは全負荷型に限った話です。特定負荷型を選んだ場合、停電時に使えるのは設置時に指定した回路(通常は冷蔵庫・照明・コンセント数口程度)に限られます。

停電時に使える家電・使えない家電:型式別早見表

「停電時に何が使えて何が使えないか」を、型式別に整理します。

停電時の家電使用可否(目安)

家電・設備 全負荷型特定負荷型/消費電力の目安
冷蔵庫 ○ 使える/○ 使える(専用回路含む)/約150〜200W
照明(LED) ○ 使える/○ 使える/一般住宅全体で100〜200W程度
スマホ・PC充電 ○ 使える/○ 使える(専用コンセント経由)/数十W
テレビ ○ 使える/△ 回路次第/100〜200W
エアコン ○ 使える× 基本使えない/500〜2,000W
IHクッキングヒーター ○ 使える(容量内)/× 使えない/3,000〜6,000W(非常に大きい)
エコキュート △ 使えるが推奨しない(大電力)/× 使えない/1,000〜3,000W
電子レンジ ○ 使える(短時間)/△ 回路次第/1,000〜1,500W
ドライヤー ○ 使える(短時間)/△ 回路次第/1,200〜1,400W

⚠ 「使える」≠「何時間でも使える」

全負荷型でも蓄電池の容量は有限です。消費電力の大きいエアコン・IHを常時使うと蓄電池が数時間で空になります。「停電時に何を優先して使うか」を事前に決めておくことが重要です。

停電時に何時間使えるか:容量別シミュレーション

「9.9kWhの蓄電池を入れたら、停電時に何時間使えるか」を使い方別に試算します。

9.9kWh蓄電池・停電時使用時間の目安

使い方 消費電力の目安/持続時間の目安
最小限モード
(冷蔵庫+照明+スマホ充電)
約300〜400W/約24〜33時間
※太陽光発電があれば昼間に充電できるためさらに長持ち
快適モード
(冷蔵庫+照明+テレビ+エアコン1台)
約1,000〜1,500W/約7〜10時間
※夏の猛暑・冬の寒波時はエアコンが特に消費
フル稼働モード
(エアコン複数+家電全般)
約3,000W以上/約3〜4時間以内
※停電が長引く場合には持たない
IHで調理(全負荷型) IH1口で3,000〜6,000W/1〜3時間で蓄電池消費
※停電時のIH使用は最小限に留めるのが現実的

太陽光発電と蓄電池を組み合わせている場合、昼間は太陽光から直接電力を使いながら蓄電池を充電できます。停電が2〜3日続くような状況でも、晴天であれば「最小限モード」で生活を維持できる可能性があります。

価格差はどのくらいか:工事費・補助金との関係

全負荷型と特定負荷型の価格差は、主に工事費の差から来ます。

全負荷型 vs 特定負荷型:コスト比較(目安)

本体価格 全負荷型の方が同容量でも2〜10万円程度高い製品が多い(メーカー・機種による)
工事費 全負荷型は分電盤の改修が必要なため、特定負荷型より10〜30万円程度高いことが多い
補助金(東京都) どちらも同じ計算(10万円/kWh)。全負荷型・特定負荷型で補助金額は変わらない
実質的な費用差(目安) 同容量であれば全負荷型は特定負荷型より20〜50万円程度高くなることが多い

補助金は蓄電容量(kWh)ベースなので、全負荷型・特定負荷型で受け取れる補助金額は同じです。ただし全負荷型の工事費が高い分、実質負担額は全負荷型の方が20〜50万円程度大きくなることが多いです。この差を「停電時にエアコン・IHが使えること」で正当化できるかどうかが判断のポイントです。

どちらを選ぶべきか:家族構成・生活スタイル別の判断基準

全負荷型・特定負荷型の選択は「停電時にどこまで普段通りの生活を維持したいか」で決まります。

タイプ別おすすめ選択

全負荷型を選ぶべき方
  • オール電化で停電時にもIH・エコキュートを使いたい
  • 高齢者・乳幼児・持病のある家族がいて停電時でもエアコンが必要
  • 停電が長期化した場合でも家での生活を継続したい
  • 予算に余裕があり、将来的な利便性を優先したい
特定負荷型で十分な方
  • 停電時の最低限の備え(冷蔵庫・充電・照明)で十分
  • コストを抑えて補助金の実質負担を少なくしたい
  • ガスコンロが使えるのでIHは停電時に不要
  • 停電時は外出・避難所利用も選択肢に入っている

判断のポイント

「停電時にエアコンが必要か」で9割決まる。

東京の夏の熱中症リスクを考えると、高齢者・乳幼児がいる家庭では全負荷型の20〜50万円のコスト差は妥当と言えます。一方、健康な成人のみの家庭で「停電時は最低限の生活ができればよい」という方は特定負荷型が合理的です。蓄電池の目的が「電気代削減メイン・災害備えはサブ」なら特定負荷型でも十分機能します。

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よくある質問

全負荷型と特定負荷型、どちらを選べばいいですか?

停電時に家中の電気(エアコン・IH・エコキュート等)を使いたいなら全負荷型。コストを抑えて停電時でも冷蔵庫・スマホ充電・照明を確保したいだけなら特定負荷型が向いています。全負荷型は設置工事が複雑になるため費用が高くなることが多く、その分補助金との兼ね合いも考慮が必要です。

停電時にエアコンは使えますか?

全負荷型蓄電池であれば停電時でもエアコンを使えます。ただし、エアコンは消費電力が大きいため(1台あたり500W〜2kW程度)、蓄電池の容量がどれだけ持つかが問題になります。9.9kWhの蓄電池でエアコンを常時稼働させると6〜8時間程度しか持ちません。停電が長引く場合は節電が必要です。

オール電化の家では全負荷型が必要ですか?

停電時にIHクッキングヒーター・エコキュートを使いたい場合は全負荷型が必要です。ただしIHは消費電力が非常に大きく(3〜6kW)、蓄電池での利用は短時間に限られます。オール電化の場合、非常時のバックアップとして全負荷型を選びつつ、停電時の使い方(何を使い何を我慢するか)を事前に決めておくことが重要です。

東京都の補助金では全負荷型・特定負荷型どちらも対象ですか?

東京都の家庭用蓄電池補助金(クール・ネット東京)は、SII登録済みの機器であれば全負荷型・特定負荷型どちらも対象です。ただし補助金の計算は蓄電容量(kWh)ベースのため、全負荷型か特定負荷型かで補助金額は変わりません。設置工事費の違いが最終的な実質負担額に影響します。

まとめ

  • 全負荷型:停電時に家中の全回路が使える。エアコン・IHも可能。工事費が高め(特定負荷型より20〜50万円程度)。
  • 特定負荷型:停電時は指定した回路のみ使用可(冷蔵庫・照明・コンセント等)。工事がシンプルで安価。
  • どちらも東京都補助金の対象。補助金額は蓄電容量(kWh)ベースで同じ。
  • 選択の目安:「停電時にエアコンが必要かどうか」が最大の判断ポイント。
  • 高齢者・乳幼児がいる家庭や、オール電化で停電時も生活を継続したい家庭は全負荷型が適している。
  • 容量が9.9kWhでも、エアコン常時稼働なら6〜8時間程度。「何時間持つか」の計算を設置前にしておくことが重要。

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