無料点検商法の5つのパターン
太陽光と蓄電池に関わる点検商法には、主に5つのパターンがあります。いずれも「点検」を入口に使い、高額な機器や工事の契約に誘導する構造です。
点検商法の5パターン
| パターン | 典型的な言い回し | 実態 |
|---|---|---|
| ①劣化発見型 | 「パネルが劣化していて発電量が30%落ちています」 | 大げさな劣化診断で不安を煽り、蓄電池やパワコン交換を迫る |
| ②配線危険型 | 「屋根の配線が危険な状態です。火事になる前に工事が必要です」 | 根拠のない危険告知で即日工事契約を求める |
| ③義務化型 | 「太陽光パネルの点検が法律で義務化されました」 | 「法律で義務化されたので今日点検する」には根拠が無い。点検義務の有無は制度の利用や出力で異なる(国民生活センター)。訪問してきた業者に頼む義務は無い。詳しくは「点検が義務化された」と言われた時の記事へ |
| ④保証更新型 | 「設置10年で保証が切れます。今なら延長保証と蓄電池をセットで」 | 保証期間の切れ目を狙い、割高なセット契約に誘導 |
| ⑤近隣施工型 | 「近くで工事があったので、ついでに無料点検します」 | 近隣施工は事実の場合もあるが、「ついで」に無料点検してセールスにつなげる手口 |
これら5つのパターンは単独で現れることもあれば、複数が組み合わさって「義務化されたので点検に来た→配線が危ない→今日決めると補助金が使える」という複合的な話になることもあります。
本物の点検と点検商法を見分ける5基準
本物の点検業者と点検商法の業者を見分けるための5つの基準です。実際に劣化がある場合もゼロではないので、業者を疑う前に、まずこの5つに当てはめてみてください。
本物の点検業者の5つの特徴
逆側のサインも2つだけ書いておきます。1つは、他の業者の確認を拒むこと。「うちでしか対応できない」「今すぐ工事しないと危ない」と言って相見積もりを取らせない業者は、4つ目の基準の裏返しです。もう1つは、比較できない説明。「このままだと発電量が半減する」と言われても、いまの発電量の実測値と並べて見せてもらえなければ、深刻さは判断できません。
アポなしの突然訪問、口頭だけの問題指摘、「今日中に決めてください」の即決要求。どれか1つでも当てはまれば、その日は何も決めずに保留にしてください。
訪問で出された見積もりを、別の会社に見てもらう
リノベステーション(株式会社インフィニティエージェント)の訪問販売セカンドオピニオン診断は、手元の見積もりの内容を電話で聞き取り、価格が適正かを診断するサービスです。診断の結果と一緒に、同社の太陽光・蓄電池の提案も聞くことになると、公式の案内ページに書かれています。
次に当てはまる方は対象外です。
⚠所有の一戸建てではない(賃貸、マンションタイプは対象外)
⚠築30年以上は設置不可
⚠現在太陽光をリースで契約中
※65歳以上の方は提携ローンの使用ができないため、現金払いになります
※各家庭差はございますので効果を保証するものではありません
リノベステーション(レントラックス経由)へのリンクです。申し込みがあると当サイトに紹介料が支払われます。
来訪時の対応と、口頭を紙に変えてもらう方法
訪問業者に対して、その場での契約を避けるための対応を状況別にまとめます。
状況別の対応方法
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 突然「無料点検します」と来た | 「今日は都合が悪いので」と断る。点検を受けない権利がある。既設業者のサポートに任せていると伝えてもよい |
| 点検を受けた後に「問題がある」と言われた | 「写真付きの点検報告書を書面でください」と依頼する。書面なしで即決しない |
| 「今日決めないと補助金が間に合わない」と言われた | 「今日は決めません。後日また連絡します」で足りる。補助金の申込期限は公式サイトで自分で確認できる |
| 「義務化されたので点検が必要」と言われた | 「訪問してきた業者に点検を頼む義務は無い。点検が必要かは設置した業者かメーカーの窓口で確認する」と伝える |
| しつこく迫られる | 「この話はお断りします。帰っていただけますか」。それでも居座る場合は「消費者ホットライン(188)に連絡します」と伝える |
「断ったら失礼ではないか」という気持ちから契約してしまうケースがあります。訪問販売で断ることは失礼ではありません。また特定商取引法により、断った後の「再勧誘」は業者に禁止されています。「お断りします」と明示した後も続く場合は法律違反です。
口頭で「劣化している」「危険だ」と言われたら、写真付きの点検報告書と見積書を書面で出してもらってください。出せない業者の指摘は、それ以上確かめようが無いので、そこで終わりにしてよいです。本当に劣化しているかどうかは、太陽光を設置した業者かメーカーの窓口で聞けます。太陽光発電協会も、知らない業者から点検を勧められたら即答を避け、不明な点は販売店や施工店、メーカーに確認するよう案内しています。
「今日契約なら工事費が安い」と言われた時の断り方
無料点検の後に「今日契約なら工事費を下げます」「補助金の枠が残り少ないので今決めた方がいい」と言われると、断るのが難しくなります。ただ、即日契約を前提にした値引きは、比較をさせないための言い回しであることが多いです。工事費の値引きは見積書の1行として書けるものなので、書面に残せない値引きに、その日に返事をする理由はありません。
その場で使える断り文句
1つ目の言い方が一番角が立ちません。相手を悪者にしなくて済むからです。そして「他社の見積もり」を本当に頼んでおくと、この一言が嘘でなくなります。頼み方は次の節で、手元の紙を採点したあとに書きます。
「他社の見積もりを見てから決める」を、本当にできる状態にする
今日は決めないと言ったあと、同じ容量・同じ機種の税込総額を何枚か並べれば、持ち帰った紙が高いか安いかが分かります。一括見積もりは条件を一度入れると複数社から届きます。
| サービス(運営会社) | 申し込むとどうなるか | 見積もりを頼む |
|---|---|---|
| 太陽光発電の窓口madoguchi株式会社 | 「太陽光・蓄電池セット」「蓄電池のみ」などから選んで申し込むと、最大4社からメールか電話で見積もりが届くと公式ページに書かれています。 蓄電池だけで頼めるか:「蓄電池のみ」を選んで申し込めます | 太陽光発電の窓口に依頼 |
| エコ発蓄電池株式会社energy nova | 条件を一度入力すると、複数の会社から見積もりが届きます。どの会社から連絡が来るかは申し込みの画面で確かめてください。 蓄電池だけで頼めるか:蓄電池の一括見積もりです | エコ発蓄電池に依頼 |
| エコ×エネの相談窓口 | 条件を一度入力すると、複数の会社から見積もりが届きます。電話かメールかは申し込みの画面で確かめてください。 蓄電池だけで頼めるか:申し込みの画面で確かめてください | エコ×エネの相談窓口に依頼 |
| タイナビ蓄電池 | 条件を一度入力すると、複数の会社から見積もりが届きます。 蓄電池だけで頼めるか:蓄電池だけの見積もりが対象です(太陽光とセットの申し込みは対象外) | タイナビ蓄電池に依頼 |
太陽光発電の窓口(madoguchi株式会社)は、太陽光・蓄電池セット・蓄電池のみから選んで申し込むと、最大4社からメールか電話で見積もりが届く仕組みです(公式ページの表記)。タイナビ蓄電池は、蓄電池だけの見積もりが対象です(太陽光とセットの申し込みは対象外)。3つの違いは一括見積もりサービスの比べ方にまとめています。
点検後に渡された見積書と点検報告書を採点する5項目
手元の見積書と点検報告書に、次の5つが書いてあるかを見てください。書いていない項目が多いほど、その紙は比べるために作られていません。口頭の数字しか無い方は、まず前の節のとおり写真付きの報告書と見積書を書面で出してもらってください。ここから先は、紙が手元にある方向けです。
手元の紙に書いてあるか
5つ目について。「補助金で200万円出るから実質安い」のように補助金を根拠にした金額説明に違和感があるなら、東京都の蓄電池補助金が怪しいと感じた時の確認ポイントで、公式の補助額計算と営業の説明のズレを照合してください。
5つのうち、手元の紙に書いていないものがあった方へ
空欄があること自体は珍しくありません。玄関先で渡される紙は、そもそも他の紙と比べるために作られていないからです。手元の条件(提案された容量、聞いた工事費、補助金の話)をそのまま書いて同じ条件でもう1枚出してもらえば、並べた時点で最初の紙が妥当だったかは自分で判断できます。1枚しかない状態では、屋根を見ていない自分には判断のしようがありません。
申込フォームには自由記述の欄があるので、「他社の見積書と同じ条件で、型番と工事費の内訳を入れてほしい」と書いて頼めます。連絡方法(メールか電話か)と希望の時間帯を選ぶ欄もあります。相見積もり中でも問題ないと公式サイトのQ&Aに書かれているので、いまの紙を持ったまま頼んで構いません。同じQ&Aには、現場を見ることも見積もりも無料とあります。つまり家を見に来る前提の窓口なので、都合のよい日時をこちらから伝え、見積書を見てから決めればよいです。
ブルエネで比べたい方
もう1社から、同じ条件で見積もりを出してもらう窓口です。対応エリアは公式ページで確認してください。
2枚目を見るときの目を作るために、訪問販売でよく使われる営業トーク7選を先に読んでおくと、どこを見ればよいかが分かります。
「無料点検→モニター価格」の連続トーク
点検商法と組み合わせて使われることが多いのが「地域限定モニター価格」「あと数件だけ」という即決誘導です。無料点検で「劣化があります」と告げられた直後に「今日決めればモニター価格で入れられます」と畳みかけるパターンがあります。「今ならモニター価格で提供できる」と契約を急かされる事例は、国民生活センターが2021年6月に公表した家庭用蓄電池の勧誘トラブルの報告にも挙がっています。
「モニター価格」は法的定義のない言葉
「モニター価格」「地域限定特別価格」に公的な認証はなく、業者が自由に使える言葉です。補助金を引いた「実質価格」を前面に出して本体価格の高さを隠す手口でもあります。補助金を引く前の税込工事費の総額を同一スペックで複数業者と比較しなければ、本当に安いかどうかは判断できません。
モニター価格の確認方法と即決前チェックリストは蓄電池のモニター価格は本当に安い?訪問販売の即決前チェックで詳しく解説しています。点検後に見積もりを提示された場合は、必ずその日に決めずに参照してください。
すでに契約してしまった場合:クーリングオフ手順
訪問販売で契約してしまった後でも、法定書面(契約書・クーリングオフ権の説明書)を受け取った日から8日以内であればクーリングオフが使えます。
クーリングオフの手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①期間確認 | 申込書か契約書のうち先に受け取った日を1日目として数え、8日目までかどうかを確認 |
| ②書面かメールを用意する | ハガキに「クーリングオフします」「契約年月日・商品名・業者名・金額」を記載。2022年6月の法改正で、メールなどの電磁的記録でもできる。電話だけでは証拠が残らない |
| ③送る | 書面なら特定記録郵便(またはレターパックライト)で送る。消印が証拠になる。メールなら契約書に書かれた宛先に送る |
| ④控えを保管 | 送ったハガキの写真またはコピーと郵便局の受付証を保管する。メールで送った場合は、送信済みメールをそのまま残す |
クーリングオフは業者の同意なく一方的にできます。業者が「クーリングオフはできません」「解約には費用がかかります」と言っても、法的に有効なクーリングオフを阻止することはできません。業者から抵抗された場合は消費者ホットライン(電話:188)または最寄りの消費生活センターに相談してください。
無料点検後に渡された契約書・見積書が、当日の説明と違う場合は工事前に止めて確認してください。型番、設置場所、工事内容、補助金額、クーリングオフ記載の確認表は蓄電池の契約書と説明が違う時の確認手順にまとめています。
8日を過ぎた場合でも、「義務化されている」などの不実告知があった場合や、家庭の実態から見て明らかに不必要な量の契約(過量販売)の場合は、取消権や解除権が認められるケースがあります。消費者ホットライン(188)に相談してください。
よくある質問
無料点検で「劣化している」と言われたら本当ですか?
必ずしも信頼できません。点検商法では、点検後に「パネルが劣化しています」「配線が危ない状態です」と問題を大げさに言うことで蓄電池や追加工事の契約を迫る手口があります。口頭で不具合を指摘された場合は「写真付きの点検報告書を書面でください」と依頼してください。書面を出せない業者の指摘は信頼性が低いです。本当に劣化しているかは、太陽光を設置した業者かメーカーの窓口で確認できます。
訪問してきた業者の無料点検は断ってもよいですか?
訪問してきた業者に点検を頼む義務はありません。点検が義務の対象になるかは、FIT制度やFIP制度の利用の有無や出力によって異なると国民生活センターが説明しており、「法律で義務化されたので今日点検する」という説明には根拠がありません。点検が必要かどうかは、太陽光を設置した業者かメーカーの窓口で確認してください。すでに設置業者のサポート窓口がある場合は、そちらに任せていると伝えれば足ります。
無料点検後に契約してしまった場合、クーリングオフできますか?
訪問販売で契約した場合は、法定書面の受領日から8日以内であればクーリングオフできます。通知はハガキや内容証明郵便などの書面のほか、2022年6月からはメールなどの電磁的記録でもできます。電話だけでは証拠が残らないため、書面かメールで行い、送った控えを保管してください。業者が「できない」と言っても、法的に有効なクーリングオフを阻止することはできません。
本物の太陽光パネル点検と点検商法を見分ける方法はありますか?
本物の点検業者には、①事前にアポイントを取る、②点検結果を写真付き書面で提供する、③問題があれば根拠を具体的に示せる、④その日に即決を求めない、⑤会社の所在地と連絡先が明記されたパンフレットを持参している、という特徴があります。アポなし訪問、口頭のみの問題指摘、即決要求は点検商法のサインです。
点検商法で高額な工事契約を結んでしまいました。どうすればよいですか?
まずクーリングオフの期間(法定書面を受け取った日から8日以内)が残っているか確認してください。残っていれば書面かメールでクーリングオフの意思を通知します。8日を過ぎている場合は、消費者ホットライン(188)または最寄りの消費生活センターに相談してください。「法律で義務化された」といった根拠の無い説明(不実告知)があった場合は、契約の取消が認められるケースがあります。
「今日契約なら工事費が安い」と言われたらどう断ればいいですか?
「今日は契約しません。他社の見積もりを見てから決めます」と伝えてください。「今日だけ」の値引きと補助金の期限は別物で、期限はクール・ネット東京の公式ページで確認できます。手元の見積書に型番、工事費の内訳、不具合の写真があるかを見て、同じ条件でもう1枚出してもらってから比べれば、別会社の見積もりを取るまで契約しない、という断り方が嘘になりません。
まとめ:「無料点検→問題発見→その日に契約」は疑う
- 点検商法は5パターン(劣化発見・配線危険・義務化・保証更新・近隣施工)。無料点検からその日に契約を迫る流れは、注意喚起されている型
- 口頭の指摘は、写真付きの点検報告書と見積書を書面で出してもらう。出せないなら、それが答え
- 訪問してきた業者に点検を頼む義務は無い。点検が必要かは設置業者かメーカーの窓口で確認できる
- 「今日だけ」の値引きと補助金の期限は別物。今日決めない理由は「他社の見積もりを見てから」でよい
- 契約してしまっても、法定書面を受け取った日から8日以内は書面かメールでクーリングオフできる
玄関先で点検を受けたことも、話を最後まで聞いたことも、失敗ではないと思います。屋根の上は自分では見えませんし、その場で確かめる手段が無かったのですから、そうなるのが普通です。
今日できることを、紙のある人と無い人で1つずつ。見積書があれば、機種の型番をSIIの登録リストで照合してください。5分で終わります。型番が書かれていなければ、それが最初に埋めてもらう空欄です。紙が無ければ、太陽光を設置した業者かメーカーの窓口に「いま点検が必要な時期か」を聞いてください。これも5分で、無料です。